時代を越えて、恋人になっちゃいました。
千煌は氷を鷲掴みにすると、身にまとっていた服の一部を切り裂いた。
そしてそれで氷を包むと、私の左頬に当てた。
「わっ! 冷っ! 」
「冷たくなきゃ意味ねぇだろうが。ほれ、自分で持て」
「っていうか、服切っちゃってよかったの? 」
「ああ、構わない。後で直す」
「縫うの? 」
「いや、神気を送れば直る…はず」
はずって…。
そんな曖昧でいいの。
「じゃあ直らなかったら、縫ってあげる」
「は? お前が? 」
「まさか。ソウがだよ」
私がしれっとそう返すと、千煌は呆れたように項垂れた。
「お前、女だろ? 」
「そうだけど、裁縫は嫌い」
「……あっそ」
千煌はため息をついて、子狐に変化した。