時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「さっ、冷やしながらでいいから部屋に戻るぞ。親に見つかったらさすがに何事かと思われるからな」
千煌が本性の姿の時よりも、若干高めな声で私を急かす。
確かにそうだけど。
父さんならともかく、母さんは真っ青になるだろう。
「はいはい」
私はおとなしく従うことにした。
ダイニングテーブルを横切るとき、おにぎりとメモが目に入った。
『降りてきて、お腹空いているなら持って上がりなさい。ゴミは明日の朝でいいからね』
母さんからだった。
うちの母さんは、本当にこういうときに間合いの分かる、いい母親。
無駄に深追いはせず、それでもフォローしてくれる。
「…ありがと、母さん」
呟いて、メモとおにぎりを手に持った。