時代を越えて、恋人になっちゃいました。
しっかり身支度を整えた私は、優雅にフレンチトーストを食べていた。
すると突然、チャイムがなった。
「はいはーい」
母さんがエプロンで手を拭きながら、慌てて玄関へ向かっていく。
私は黙々とフレンチトーストを口に運ぶ。
「蒼空、翔真くんよ」
「は? 嘘でしょ? 」
「嘘じゃないわ。珍しく一緒に行くのね」
あのやろ、私の優雅な朝食を邪魔しやがって!
いくらちゃんと身支度を整えてあると言っても、まだ髪は結ってないのに!
「待たせといて! 」
「急ぎなさいね〜」
歯磨きをしてから階段を駆け上がって、部屋に飛び込む。
中3のときの誕生日プレゼントのドレッサーの前に座って、引き出しからブラシを取り出す。
長い髪を丁寧に梳かしてから、いつもの茶色い、シンプルなゴムでポニーテールにくくる。
立ち上がって、全身を鏡に映して確認してから通学用のリュックだけを手に取った。
「千煌、行ってくるね」
千煌に声を掛けると、寝ぼけたような返事がモニョモニョと返ってきた。