時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「それだけか? 」
「うん、そう。あ、あと正論は保身のために使うなって言われた。私は保身のために使ってるつもりなかったんだけどねぇ。日本語って本当難しいね」
「お前、それでいいの? 」
「いいんじゃない? 結局悪かったのは私なんだよ、きっと」
「そういうことじゃねぇよ! 」
いつもはクールなソウが、急に声を荒げた。
私は驚いて立ち止まる。
いつの間にかソウは、私の一歩後に立っていた。
「お前、剣道好きなんじゃねぇの? それでいいのかよ」
「よくはないけど、仕方ないじゃん」
「蒼空は騰蛇には泣きつけて、俺にはできないんだ? 」
……は?
急にどうしたよ、おい!
「昨日聞こえたんだよ、お前と騰蛇のやり取り。なんで俺に先に言ってくれないわけ? そんな俺って信用ない? 」
荒げた声のトーンを突然落とすソウ。
瞳を不安げに揺らして、私を見つめている。
「そういうことじゃ…」
「じゃあなんなんだよ! 」
驚いて固まる私なんて気にも留めずに、ソウはポツリと零した。
「俺、お前の力になりてぇのに。学生としても、同業者としても」
そしてソウはそのまま続けた。
「お前が好きなんだ、蒼空」