時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「のう、蘭」
「はい」
「そなた、何かを感じぬか? 」
「何かを、とはなんでしょう? 」
「そなたとよく似た気を持つ者がおるようじゃ」
「私に、ですか? 」
「そうじゃ。そなたの生まれ変わりの者かもしれぬな。その者も未来で美剣士と謳われるのだろうな」
信長がからかうように言うと、蘭丸はムッとして言った。
「私はおなごではありませぬゆえ、そのお言葉を誇りには思えませぬ」
「そう固いことを言うでない。そなたはわしの自慢の剣士だ」
「ありがとうございます」
蘭丸のそばに立った私は不思議な気持ちでいっぱいだった。
_______覚えてるの。信長…ううん、上様とこうやって話したこと。
「……う、えさま…」
思わず呟くと、蘭丸だけがはっとしたようにこちらを向いた。
「どうした? 」
「い、え。上様、そろそろ戻りましょう。お体が冷えてしまいます」
「うぬ。そうしよう」
蘭丸は上様を部屋の中に促すと、自分はその場に踏みとどまった。
「蘭、入らぬのか? 」
「はい。紅王の帰りを待ちます」
「そうか、分かった」
上様はスッと襖を引き、こちらとの世界を遮断した。
それを見届けた蘭丸はくるりと私の方に向き直った。