時代を越えて、恋人になっちゃいました。
あの後私たちは3時頃までファミレスで粘った。
ドリンクバーで4時間居座って、お店側にはいい迷惑だろう。
「そろそろ出るか? 」
「そうだね。ってかソウ、部活は? 」
私は部活停止だからないけど、ソウはあるよね?
「あー、いいや。今日は休む」
「は!? なんで!? 」
「お前といたいから。悪りぃか? 」
あまりにもストレートで甘い言葉に、私の頬は熱を帯びた。
俯いて、手のひらで頬を冷やしつつ、コクンと頷いて、了承の意を示す。
正面でソウが笑う気配がした。
「うし。帰るか」
私たちは揃って立ち上がった。
リュックを持ち上げると、カランコロンと涼しげな氷の音が微かに聴こえた。
……ん?
氷?
「あ! 私たち、弁当食べてない! 」
すっかり忘れてた…。
「そう言えばそうだな。ま、おやつ代わりに食べればいいだろ」
「おやつ代わりって、それにしたら多いじゃん! 」
「まあ落ち着けって、な? 」
ソウは笑いながら私の頭をポンポンと撫でた。
「男子高校生の胃袋、舐めんなよ。残した分は食ってやるから」
「…ん」
どうしよう、またドキドキが止まらない。
ソウ、私のことがずっと好きだったっていう割には余裕そうで、なんだか癪に触る。
私は一度俯いて、あたりに視線をやった。
周りに誰もいないことを確認して、軽く背伸びをした。
楓香が彼氏にキスをしようとしたら、自分に引き寄せすぎて歯がぶつかった、なんて笑い話、こないだ聞いたな。
私、身長高めでよかった。
180近いソウとも10センチ差だから、自分に引き寄せなくても足りるから。
目を閉じて、初めて自分からソウヘしたキスは、いつもとは違って、ドキドキよりも幸せが勝っていた。