時代を越えて、恋人になっちゃいました。
さっきより気持ち長めのキス。
今度は俺が目を閉じている。
キスしながら一瞬薄く目を開けると、蒼空も目を閉じていた。
なんだよ、お前のが余裕じゃん。
唇を離すと、名残惜しそうな目で見てくる蒼空。
「甘えん坊の蒼空さん」
「は? 甘えん坊じゃないし! 」
「とっても物足りないのは分かるが、ここどこか知ってるか? 」
「物足りない」のところで不機嫌そうに顔を歪めていた蒼空は、最後の問いかけで今度は真っ赤になった。
「馬鹿! アホ! 変態! 」
「おい! 公共の場で人聞きの悪いこというんじゃねぇ! 」
「じゃあそんなとこでキスしないでよ! 」
「いや、最初はお前だろ」
真っ赤になった蒼空は乱暴にリュックを背負い、俺に背を向けた。
「い、行くよ! 」
そしてそのまま表に向かって歩き出してしまった。
おいおい、伝票置きっぱなしじゃねぇか。
「…ったく」
俺もリュックを背負って伝票を持つと、蒼空の後を追った。