時代を越えて、恋人になっちゃいました。



何か、フワフワしたものに手を叩かれる感覚で、私の意識は覚醒した。




「おい蒼空、あなうんす、とやらが入ったぞ。もうすぐ京都だ」

「…ん、もう? ありがとう」


立ち上がって、身の回りのものを整理し始める。


ちょうど荷物がまとまった頃に、到着のアナウンスが入った。



「よし、千煌行こ」



肩に千煌が乗る感触がする。


私は手探りで千煌をひと撫ですると、荷物を持った。




『お降りの方は、速やかに列車から離れて下さい』



狭い通路を抜けて外へ出た私は人波に流されないよう、待合室に駆け込んだ。


ちょうど人が出たばかりの待合室は、少しすっきりしている。



空いていた椅子に腰掛けて、ポケットからスマホを取り出した。



〈京都に着きました〉



ソウにメッセージを送ってから待合室の外を見ると、人もだいぶはけてきた駅のホームが見えた。






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