時代を越えて、恋人になっちゃいました。
ま、とにかく挨拶くらいはした方がいいね。
おそらく次々代の陰陽頭で、会長だろうから。
「そうですか。それでは私はこれで失礼します。寮の客間を貸していただけるんでしたよね? 」
「ああ、もちろんだ。女子寮に男子は入れないから、女子剣道部の部長さんに案内してもらうといい。今呼んでおいたから」
「お気遣い、ありがとうございます」
深く頭を下げると、会長が慌てたように立ち上がった。
「そんなことをしなさんな。私とあなたの立場は対等ですよ。平安の世ではないのですから」
…そういう意味で頭下げてるわけじゃないんだよね、実は。
私があなたに頭を下げているのは、「あなたの学校の剣道部で、トップの人を倒してしまうのでごめんなさい」。
それから、「あなたのお孫さんに勝ってしまったらごめんなさい」。
ただそれだけ。