時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「ただいまっ! 父さんどこ? 」
「ここだ~」
声がしたのは父さんの書斎。
私は書斎のドアをガタンと乱暴に開けた。
「おいっ! ドアが壊れるだろ! でやっと起きたのか、うちのプリンセスは…」
「キモい」
「ヒドッ! 」
「父さん、話があるんだ」
私はそう切り出して、今まであったことを父さんとソウに話した。
2人とも驚いていたが、分かってくれた。
「なるほどね…。それは納得がいくよ。確かに森蘭丸の本を読むと、やたら蒼空に似てると思ってたから」
「剣道が強いところもそうだしな」
父さんはソウのあとに続いて言ったのを聞いて、こいつ蘭丸のことを知らないんだと思ったのは秘密ね。
父さんは立ち上がって、本棚の前に立った。
「ここに自分の前世を知る術がある。ただ蒼空の話だと蘭丸は前の前、つまり蒼空の前世の前世の姿だったわけだ」
分かるような、分からないような…。
「ということは蒼空はこの術を行えば自分のルーツが完璧に…」
「分かる必要、ないよね? 」
私は父さんの言葉を遮った。
「分かっても分からなくても、私は私だよ。成り行きで知れたらいいなとは思うけど、わざわざ知りたくない」
すると父さんはがっくりと肩を落とした。
「そうか、分かったよ」
私たちはその後、くだらない話で盛り上がった。
私も前世の姿に対して、少し神経質になっていたけど、夜になる頃にはもとに戻っていた。