時代を越えて、恋人になっちゃいました。
「上様、蘭丸でございます」
「入れ」
「はっ」
蘭丸は襖の手前で礼をすると、ゆっくりそれをあけた。
「蘭丸……。後ろの者たちはなんだ? わしはそなたしか呼んでおらぬっ! 」
「上様っ、彼らが見えるのですかっ!? 」
蘭丸が慌てたように立ち上がった。
私とソウも同時に腰を浮かす。
だって、驚いたんだもん。
前に上様にあったときは、私のこと見えてなかったし…。
「上様、これは私から説明しましょう」
「当然だ」
上様は鋭く蘭丸を睨む。
蘭丸はそれに怯むことなく、これまでのことを話し出した。
「……という次第でございます」
「そうか…。ではわしがあのとき感じた気配は間違いではなかったのだな」
「はい」
「ということは、わしの生まれ変わりはこの少年のようだ」
「私もそう感じておりました」
「そなた、名は? 」
上様はソウの方を向いて聞いた。
「翔真と申します」
「そうか。そこの少女が蘭の生まれ変わりなのだったのだな。名は? 」
「蒼空と申します」
「翔真と蒼空か…。ところでなぜわしは前回蒼空が見えなかったのだ? 」
「それは…、あれ? 今日蘭丸ソウのこと、見えたよね」
「あ、ああ」
「あの、上様。私は生まれ変わりの者同士しか見えないと思っていたんですけど…。どうやら違うようです」
「そうだな。まぁよい。とりあえず2人に出会えたのは何かの縁だろうぞ。これからも訪れるがよい」
「はい」
「もちろんです」
「ところで翔真とやら、そなたはわしの生まれ変わりゆえ、わしに敬語は使わなくてもよい」
「本当ですか…? いや、本当か? そうしてくれたらとても嬉しい。何よりあなたと距離が縮まったように感じれるからな」
「うぬ。ではわしはそなたを『翔真』と呼ぼう。そなたはわしを『信長』と呼ぶがいい」
「分かった」
なんだか、男の友情芽生えちゃったんですけど…。
ま、いっか。