時代を越えて、恋人になっちゃいました。
私は予想外の発言に目を見開いた。
「急にどうしたの? 」
「いや、俺も好きな人できちゃったんだ。だから……」
「そっか。でも私もそういうつもりだった。別れてくださいって」
「そっか…」
黙った私たちの間を、夏の風が過ぎていった。
「じゃ、俺帰るわ。じゃーな」
「ん、バイバイ」
またね、だなんて言えなかった。
俯いて、バイバイって言うのが精一杯だった。
だけどここで泣くのはちょっと筋が違う。
だから私は、走って家に帰った。