君は振り向かない
本田宏……。
2組のクラス委員長をやっていて、成績も優秀なうえ、バスケ部のキャプテンも務めている完璧な奴だ。
優しく、皆から人気者で、ファンも多いらしい。
「本田と、真由ちゃん付き合ってたんだ……」
何だかお似合いの二人に、俺はモヤモヤした。
「本田宏のことを、真由は本当に好きで、いつも彼に合わせてた。周りから見ても二人は相思相愛って感じだった」
そして、三咲ちゃんの顔が曇り始める。
「でも、あいつは……本田宏は真由のことは遊びだったの。本命の彼女は他校にいて、真由のことは、からかってたみたい」
「何だよそれ……」
「真由は、本当に好きで、すごく尽くしてた。結局は、いいように使われてたって感じ、それ以来真由は誰も好きにならないって言うようになった」
三咲ちゃんが、声を震わせながら言った。