君は振り向かない
「頼斗……」
真由ちゃんの目は赤くて、恐らく泣いていたんだと思う。
「真由ちゃん。隣に行ってもいい?」
真由ちゃんは、静かに頷いた。
久々に真由ちゃんの隣に立つと、やっぱり俺の心臓はドキドキし始めた。
真由ちゃんの、横顔は何だか思い詰めているようだった。
「真由ちゃん、こないだはいきなり告白なんかしてごめんね」
「……突然だからびっくりした」
真由ちゃんの綺麗な黒髪が風にさらさらとなびいていた。