君は振り向かない
「正直に言うと。最初は簡単に落とせるかなと思った」
俺の言葉に真由ちゃんは睨んできた。
「だと思った。男って、みんなそうなんだから……」
「でも、真由ちゃんは違った。俺を敵対視してた。なのに、俺が体調悪くしたときすっげー心配してくれた」
「それは別に……」
「そこから気になりはじめて。真由ちゃんの笑顔を見るとこっちまで嬉しくなるし、不器用な優しさに惹かれた」
俺が真剣な顔で真由ちゃんを見つめると、真由ちゃんは目を逸らした。
「やめて……私はっ」
フェンスにかけてる手に力がギュッと入っていた。