君は振り向かない
「頼斗だけだよそんなこと言うの」
真由ちゃんは、下を向いて恥ずかしそうにしている。
「俺以外には言わせない。真由ちゃんに言っていいのは俺だけ」
「変なの……」
何だろうか。
この、胸いっぱいに広がる幸福感……。
本当に夢なんじゃないかと思う。
不安になって、また真由ちゃんの頬に触れる。
真由ちゃんが、俺を上目遣いで見上げる。
「夢じゃないよな?」
真由ちゃんは微笑む。
「夢じゃない」