君は振り向かない
次の日。
俺は自ら本田宏を屋上へと呼び出した。
「頼斗君から呼び出しとは。光栄だなぁ。昨日のことかなぁ?今度は本当に暴力されちゃう感じ?」
「本当はぶん殴りたい所だし、お前のこと嫌いで顔も合わせたくない。でも、真由ちゃんへの気持ちだけは負けねーから」
俺の言葉に、本田宏は笑った。
「あんな女、いらないよ。頼斗君にあげる」
その言い方に俺は、苛つき本田を睨む。
「じゃあ、今後一切近付くんじゃねぇ」
「言われなくてもそのつもり。昨日さ、俺がどこも怪我なんてしてないから、すぐに嘘ってことが分かった瞬間ビンタされた」
よく見ると本田の右頬が赤く腫れている。
真由ちゃん、手加減しないからなぁ。
「俺に今まで気を遣ってた真由がこの俺にビンタまでするようになったとは。頼斗君の影響だね」