君は振り向かない
話し声で目を覚ます。
薄暗くなっていたので、もう放課後か。
少し、体も楽になっていた。
カーテンをシャッと開けて、保健室の先生が顔を覗かせる。
「あ、起きた?顔色少しよくなったわね」
「ちょっと楽になりました」
「あなたのこと心配して、友達がきてるわよ」
友達?
あぁ、哲夫か。あいつもいいやつだな。
俺は起き上がり、カーテンを完全に開けた。
「哲夫…………っ!」
椅子に座っていたのは、哲夫ではなく、真由ちゃんだった。
俺は思わず口元を手のひらで覆った。
「え?真由ちゃん……なんで」
「心配だったから」
また一気に、心臓が暴れだす。
そして、あまりの嬉しさににやけるのを堪えた。