君は振り向かない
「じゃあまたね!あ、あなたのこと何て呼べばいい?」
「えっ……頼斗でいいよ」
「分かった。頼斗お大事に」
真由ちゃんはそう言って人混みの中へと消えていった。
俺は貰った冷えピタを見て、思わずニヤニヤした。
頼斗って、
名前呼んでくれた。
俺のために、冷えピタを買ってくれた。
「俺、今ならこのまま死んでもいいぐらい嬉しいわ」
冷えピタを胸へとあてる。
ああ、これは間違いない。
俺、恋してる。
真由ちゃんのことが、本気で好きだ。
この胸の奥がぎゅーっとしめつけられる、この感情の正体は恋だ。
真由ちゃん、俺、初めて恋に落ちた。