君は振り向かない




「じゃあまたね!あ、あなたのこと何て呼べばいい?」



「えっ……頼斗でいいよ」



「分かった。頼斗お大事に」




真由ちゃんはそう言って人混みの中へと消えていった。



俺は貰った冷えピタを見て、思わずニヤニヤした。



頼斗って、




名前呼んでくれた。


俺のために、冷えピタを買ってくれた。




「俺、今ならこのまま死んでもいいぐらい嬉しいわ」



冷えピタを胸へとあてる。



ああ、これは間違いない。




俺、恋してる。




真由ちゃんのことが、本気で好きだ。



この胸の奥がぎゅーっとしめつけられる、この感情の正体は恋だ。




真由ちゃん、俺、初めて恋に落ちた。







< 34 / 187 >

この作品をシェア

pagetop