君は振り向かない
哲夫と三咲ちゃんカップルに、続いて俺たちもお化け屋敷の中へと入る。
中は真っ暗で、風邪が吹いていて、雰囲気が出ていた。
「すっげー。お化け屋敷も久々だけど、よく出来てるな」
「分かったから、早く行こ!とっとと終わらせる!」
真由ちゃんは下を向きながら、ズンズン歩く。
怖いんだな。
少し歩き出すと、髪の長い人形が目を閉じたまま立っていた。
腰まである黒い髪は、顔にまでかかっていて人形と分かっていても不気味だ。
「うっわー。こえー。貞子?」
俺が呑気にそんなことを言ってると、いきなりその人形が、目をパッと見開き上下に体を揺らし始めた。
「うわ!びびった!」
その瞬間、ギュッと俺に真由ちゃんが抱きついてきた。
え?待って?
突然の状況に俺は戸惑う。
真由ちゃんに、抱き付かれてる?