君は振り向かない
放課後になり、真由ちゃんのクラスへと迎えに行く。
「あれ?頼斗!ひっさしぶりー」
そう言って、声をかけてきたのは前よく遊んでいた平田菜々子。
あ、菜々子も真由ちゃん同じクラスだったけ……。
やばい、また菜々子と話してる姿を見られたら真由ちゃんに嫌われる。
「久しぶり……」
「何か雰囲気変わったぁ?相変わらず、タイプだけど」
そう言って、菜々子は手をギュッと握ってきた。
「久々に、遊ぼっか?」
菜々子が赤いグロスたっぷりの唇を近付けてきた。
俺はそんな菜々子の手を離した。
「ごめん。俺さ、本気で好きな子が出来たんだ」
その言葉に、菜々子は明らかにイラついた表情を見せる。