君は振り向かない
「菜々子!お前ふざけんなよ……」
「頼斗こそ目を覚ましてよ。あんな女のどこに惚れるわけ?頼斗は皆の頼斗でしょ?」
菜々子の恐ろしいほど、強きな目に驚く。
「前みたいにさ~、遊ぼうよ。一人の女だけを追いかける頼斗なんて頼斗らしくないよ」
菜々子は、そう言って俺の首に手を絡めてきた。
これが俺の罪の代償か……
俺のせいで真由ちゃんに迷惑かけた。
一番、傷付けてはいけない彼女を傷付けた。
くそ……
「おい。何で真由ちゃんの噂を流すんだよ。俺の噂を流せよ!真由ちゃんは関係ないだろ……」
俺の言葉に、菜々子は腹を抱えて笑いだした。
「それじゃ、おもしろくないじゃん。私達から頼斗を奪ったのは橘真由でしょ」
俺はクラクラした。