君は振り向かない
「俺、瀧本頼斗。頼斗ってよんでくれ…」
「知ってる。あなた有名だから」
俺の言葉を遮るように言った。
その目は、俺を睨み付けていた。
ふ~ん。ますますおもしろい。
絶対、落として見せる。
「ここの教室。私、よくここで勉強したり、本読みにくるの」
「そうだったんだ。俺もよくここ来るから、俺達の秘密の場所だね?」
俺がニコッとしても、びくともしないのか寧ろますます睨んでくる真由ちゃん。
「こないだ入ろうとしたら、中から男女の声が聞こえた。あなたでしょ?」
あぁ~。
聞かれてたんだ。
「ここでそういうことするのやめて。もうここに来ないで」
そう言って、真由ちゃんは去っていった。
おもしろいじゃん。
強気な女の子も、悪くない。
橘 真由ー。
君を俺に夢中にさせてみるよ。