君は振り向かない




「俺、瀧本頼斗。頼斗ってよんでくれ…」



「知ってる。あなた有名だから」



俺の言葉を遮るように言った。



その目は、俺を睨み付けていた。



ふ~ん。ますますおもしろい。



絶対、落として見せる。




「ここの教室。私、よくここで勉強したり、本読みにくるの」



「そうだったんだ。俺もよくここ来るから、俺達の秘密の場所だね?」





俺がニコッとしても、びくともしないのか寧ろますます睨んでくる真由ちゃん。




「こないだ入ろうとしたら、中から男女の声が聞こえた。あなたでしょ?」



あぁ~。



聞かれてたんだ。




「ここでそういうことするのやめて。もうここに来ないで」



そう言って、真由ちゃんは去っていった。




おもしろいじゃん。




強気な女の子も、悪くない。



橘 真由ー。



君を俺に夢中にさせてみるよ。


< 9 / 187 >

この作品をシェア

pagetop