君は振り向かない
「ごめんね、真由ちゃん」
「頼斗は謝ることないのに。何で謝るの」
真由ちゃんは、抵抗せず俺の胸に顔をあてた。
「あっ、頼斗ドキドキしてる……?」
「そりゃ、そうだよ。真由ちゃんを抱き締めちゃってるんだもん」
彼女のサラサラで綺麗な髪を撫でる。
「頼斗。これからも普通に話しかけてくれる?」
涙目の上目遣いの真由ちゃんは、俺の理性を壊す。
ダメだよ、男の前でそんな可愛い顔しちゃ……
好きな男の前でしか、しちゃダメな顔。