冷たい君と青春中。


「っだ、だから……キスするの?」


「 もう、黙ってろ」


そう言って、水野くんはさっきよりも足早に、駅へと向かうあしを進めた。


「ま、まってよ水野くん…!」


いつものわたしだったら、このままうまいことはぐらかされていた。


だけど今日は、今日だけはきちんと確かめないと。


はじめての、キスで…。はじめての、感情。なにがどうとか、正解とか、ぜんぜんわからないけれど


わたしの呼びかけに振り返った彼に、ひとつ深く息を吸う。そして、おおきく息を吐く。

< 288 / 462 >

この作品をシェア

pagetop