Fighting fantasia
仕方がなかった。

彼は規格外に強かったのだ。

この世界のスケール…いや、この星のスケールに収まり切らないほどに、健二は強かった。

修行が完成しつつある現在、健二の本気を受け止められる者などこの地球には存在しない。

彼が本気で戦えば、対戦相手は生きてはいられない。

強くなる為に修行は続けているが、殺す為に強くなっている訳ではない。

だが、心のどこかで欲求もある。

全力を出してみたい。

身を削るほどの過酷な修行の末に身に付けた力を、相手の心配をする事なく全力でぶつけてみたい。

敗北の二文字を意識してしまうほどに強い相手と、本気の戦いをしてみたい。

しかしそれも、拳聖と呼ばれるようになってしまった今となっては夢のまた夢。

この惑星に来てしまった事が、健二の失敗だったのか…。

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