Fighting fantasia

「ほぅ」

健二の目の前で浮遊した。

衝撃に強い超質ラバーと呼ばれる特殊な素材で出来たプロテクター、タイツ生地のアンダースーツ、特殊ラバー製の手袋とブーツを併用した戦闘ジャケット。

そんな服装に身を包んだ、逆立った黒髪の男。

「コイツは驚いた。こんな辺境の惑星に随分と強い能力値があると思って見に来てみれば…貴様、この惑星の人間じゃないな」

「俺も驚いている所だ」

健二は目の前に浮遊する男を見た。

「まさか、生きて再び同郷の人間に出会うとは思わなかった」

健二の前にいるのは、言うなれば異星人だった。

ある宇宙海賊に襲撃され、一族諸共根絶やしにされた筈の惑星の出身者。

健二はその宇宙海賊の手から命辛々逃げ延び、この地球に辿り着いた。

そしてかつての名を捨て、澤井 健二として修行を続けていたのだ。