キス×殺人ごっこ
街がザワリと蠢いた。
酔っぱらいのサラリーマンが目を擦る。
彼の名前は前里 司。
入社したてのごく普通のサラリーマンである。
容姿はどちらかというといい方だろう。
地毛の茶色い髪をグシャリと掴む。
「嘘だろ。」
司は目を見開いた。
モニターに映った名前の冬至 絢香は司の元カノである。
漢字も全て同じだ。
冬至なんて珍しい名字中々いないからよく覚えていたのだ。
多分、知っている人物。
酒が好きで、男好きで女子に対して性格
の悪いあの女。
一ヶ月も経たないうちに浮気されて別れたが、今でもちょくちょく会う事はあった。
もう一度目を擦る。
嘘だ。嘘に決まってる。
殺せる筈がない。

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