美しいだけの恋じゃない
ファンデーションも、あえて本来の肌色より暗めのトーンにしていた。


陽に当たるとすぐに赤く変化し、決して小麦色にはならない、病的なまでに白い肌を唇と同様カムフラージュする為だ。


しかし、そこまでしてもなお、顔面のインパクトを完全に払拭するのは難しく、生まれつき明るい栗色の髪と相まって第一印象では「すこぶる派手な人」という評価をされてしまう。


どの染髪料もなかなか肌に合わず、頭皮が痒くなったり、下手したら皮が剥けたりしてしまうので、頭髪の色だけは手を加えられずに自然のままの状態にせざるを得ないのがネックになっていた。


ただ、せめて形だけでも地味にしようと、肩より上のボブカットにしているし、幸いな事に、今時の20代前半の女性として見れば許容範囲内の明るさなので、髪の色が原因で周りから浮いたり職場で上司からたしなめられたり、という事はなかったのだけれど。


それでも、黒髪にできればイメージはだいぶ変わるだろうにと、とても歯がゆい思いをしている。


この髪も含めたビジュアルのせいで、思春期にはとても煩わしい思いをしたものだ。


今でこそ「ただの派手顔」に落ち着いたけれど、生まれた直後から小学校低学年くらいまでの期間は瞳や髪や肌の色素が現在よりも更に薄く、まるで欧米人の血が混ざっているかのように見えた。
< 14 / 219 >

この作品をシェア

pagetop