美しいだけの恋じゃない
生徒だけではなく一部の教師にまで。


そういった周りの反応にすっかり萎縮してしまい、派手な見かけとは裏腹に、私は月日が経つにつれ段々と無口で暗い子になっていった。


それでもどうにかこうにか中学を卒業し、晴れて高校生になれたけれど、さらに受難は続き。


誰が言い始めてどこからどのように伝わったのかは分からないけれど、いつの間にやら「須藤美智瑠は大人しそうに見えて実は大の男好きで遊び好き」という不名誉な噂が広がってしまっていた。


それを真に受けたのか、『ちょっと軽めでやんちゃで、だけどどこか憎めない』というキャラクターで全校生徒に名前が知れ渡っている、3年生の男子生徒とその友達に一時期ターゲットにされてしまった。


移動教室や全校集会の際に、私の姿を見つけるとニヤニヤ顔で近付き、色々とちょっかいを出して来たりして。


しかし、軟派でノリが良い会話を期待していたのであろう彼らは、数少ない防波堤になってくれている友人の陰に隠れ、悲痛な面持ちでビクビクオドオドと対応する私に虚をつかれたようだった。


「演技じゃなく、正真正銘暗くて陰気でつまらねぇ女」「いくらなんでもアレはない」とすぐに撤退し、さらに周りにもその情報を拡散してくれたので、噂はすぐに沈静化した。
< 17 / 219 >

この作品をシェア

pagetop