美しいだけの恋じゃない
「でも…その、同時に４人の女性とお付き合いがあったって…」

『……やっぱりそんな感じの内容になってたんだ。それ、まったくの事実無根だから』

「そう…なんですか…？」

『うん。４人に告白はされたけど、実際に付き合ったのはその中の１人だよ』


私にそんな事を言われても、どのように返答したらいいのやら、大いに困惑している間に門倉保は続けた。


『大学に入学して数ヶ月経った頃同級生に、その後、やっぱり数ヶ月ずつ間を置いて、サークル内の先輩２人に付き合って欲しいって言われたんだ。１人目２人目の時には『申し訳ないけど友人、仲間にしか思えない』って断って、３人目、俺の方も前から気になっていたバイト先の女性に告白されて付き合う事になって、で、４人目の女性の時に『今彼女がいるので』って断った。そしたら、前の２人にもその情報が伝わったみたいで『そんなの聞いてない！』って、３人で抗議しに来てさ』


そこで彼はだんだんと口調がエキサイトして行っている自分に気が付いたようで、一旦咳払いしてから、それまでよりも落ち着いたトーンで話を再開した。


『……彼女達いわく、『いつも優しく接してくれているから絶対に脈アリだと思った』『いつか振り向かせるつもりだったのに、期待させるだけさせて裏切った』『思わせ振りな態度を取るな』って事らしい。そしたら何故か、周りの奴らも彼女達の味方になっちまってさ』

「そ、そんな…」
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