美しいだけの恋じゃない
決別の日
土曜、日曜と安静に過ごしている間に、じんわりと滲み出ていた血液は無事に止まったようだ。
しかし、思い込みもあるのかもしれないけれど、下腹部の違和感は相変わらず残っていた。
本来なら婦人科で診てもらうべきだったのかもしれない。
土曜日の午前中なら開いている所は多数あっただろうし、それ以降も、休日診療してくれる病院は調べればすぐに分かっただろう。
だけど…。
問診の際に何故そのような事態になったのか説明を求められるだろうし、そういった知識が皆無の私が不審がられないように上手く返せる自信などなかった。
同意の上の行為ではない事を悟られてしまい、下手したら警察の介入を勧められてしまうかもしれない。
彼の行為は断じて許しがたいけれど、かといって第三者にその経緯を詳細に明かす勇気など私にはなかった。
だから一人暮らしのアパートの、ベッドの上に横たわり、ただひたすら、時間が心身の傷を癒してくれるのを待つしかなかったのだった。
と言っても、たった2日間だけで、完全に回復する訳などなく。
体調もメンタルも絶不調のまま月曜日を迎えてしまい、重い足取りで会社へと向かう羽目になった。
体が動く以上は仕事を急に休む訳にはいかないから。
それに、途中から記憶のない新年会で、私がどのような行動を取り、そして周りにはどのように思われていたのかが大いに気がかりであった。