美しいだけの恋じゃない
「ウソだろ…」
どれくらいの時間、私は醜態を晒していたのだろうか。
彼の呆然とした声で再び目が覚めた。
できる事なら永遠に、意識を手放したままでいたかったけれど…。
その声のした方向にノロノロと視線を動かすと、いつの間にか私の体の中から撤退し、ベッドの上に正座している彼の姿が確認できた。
そして、何も身につけずに弛緩している私の下半身を凝視している事に気が付き、カーッと羞恥心が湧き起こる。
「は、初めてだったのか?須藤…」
慌てて足を閉じ、横向きに姿勢を変える間に、彼は心底困惑した声音で問いかけて来た。
その動きで、下半身に嫌な鈍痛が走ったのと同時に、みぞおちの辺りから急激に込み上げて来るものがあった。
「うっ」
「!大丈夫か?須藤っ」
呻きながら、口元を両手で押さえる私の動きにその事を察知したらしい彼は、素早くベッドから降りると、床に脱ぎ捨ててあった自分のシャツを掴み、急いで私の顔の下にあてがった。
躊躇している余裕などなかった。
私はそのまま、胃の中の物を盛大に吐き出してしまった。
「……どうして…」
惨め過ぎて情けなさ過ぎて、私は嗚咽を漏らしながら呟く。
「なんで、わたし、ここに…。なんでこんな…」
「ごめん…」