キミの首輪に、赤い糸を。
「真白はきっと、記憶を取り戻したら俺から逃げますよ」


自嘲気味に笑う如月さんもまた、不安定に見える。

喋り方も一人称も崩れていく。

でも、それは壊れていく課程じゃなくて、戻っていく過程のように思えた。


「...でも、今の真白は如月さんを必要としています」

「それは...俺が飼い主だからでしょう」

「それは...それは違うんじゃないですか?如月さんは真白のこと、ペットとしてなんか見てないはずです。真白もきっと、それを察してる」


如月さんの目は強く意思を持っていた。

いつもみたいに笑っていなくて、ただ真っ直ぐ、何かへ強い意思を持っている。


「...真白が記憶を取り戻したら、その時はお願いしますね」


しかし、最終的に聞いた如月さんの声は聞いたこともないほど冷めきっていて、表情も冷たかった。
< 146 / 231 >

この作品をシェア

pagetop