キミの首輪に、赤い糸を。
お店の中は黒を基調としてあって、大人の場、という感じだった。


「すみません、未成年の方はお断りさせていただいてます」

「...じゃあ、きさらぎを呼んで」

「きさらぎ...あぁ、リョウのことですか」

「リョウ...」


その名前を聞いて、真白は少し驚いた表情をした。

聞き覚えがあるのかな。


「リョウとはどのようなご関係ですか」

「...関係は、友達」

「では、ここで少々お待ちください」


そう言われて私達は待つ。

中が少し見える。

着飾った女の人に、男の人が話しかけていて、一緒にお酒を飲んで、女の人は酔っているのか男の人にベタベタくっついている。

やっぱり、知らない世界だ。


「あ...」


真白が小さく声を発した。


「真白?どうし...」


どうしたの?と聞く前に、その理由がわかった。

真白の目線の先には、キスをせがむ女の人を冷たい笑みで見ている、如月さんだったから。
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