キミの首輪に、赤い糸を。
「ねぇ、リョウ。キス、してよ」

「キス?」

「いいでしょ?リョウのことを一番愛しているのは、私よ?」

「愛している、ねぇ...」


如月さん、と呼ぶには、違いすぎる。

まるで知らない人のよう。
目の前の人はリョウという別人である気さえしてきた。

如月さんは、その女の人をバカにしたように見る。


「ごめんねー。俺、愛されるのって嫌いなんだよ」

「えっ...?」

「だってさ、全部嘘っぽいじゃん。そういうの、寒気がする」


冷たい、冷たい。
そして、痛い。


「き、さらぎ...」


真白は、そう声を漏らした。

そして、如月さんはそれに気付き、私達の方を見た。
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