キミの首輪に、赤い糸を。
「大丈夫か、リョウ」

「大丈夫ですよ、このくらい。でも今日はもう休ませてもらいます」


如月さんはそう言って、荷物を持ち、「帰りましょうか」とわざとらしく敬語を使った。


「はい」

「うん」


私達も、如月さんの後について、店を出た。


「大丈夫ですか?」

「このくらい平気ですよ」

「でも、一応止血はしましょう」


私は持っていたハンカチで傷口を覆った。


「ありがとうございます」

「...なんか、違和感ありますね、突然敬語を聞くと」

「あれ、そうですか?」


如月さんは、なんだか少し楽しそうだった。
素の自分でいる方が、やっぱり楽だったんだと思う。
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