キミの首輪に、赤い糸を。
...いや、違う。
意味がないんじゃない。
したくないんだ。

何も見たくない、何も嗅ぎたくない、何も聞きたくない、何も言いたくない。


だって、そうしなきゃ、感じてしまうから。

怖いっていう感覚を。


僕はずっとずっと、耐えてきたと思う。

寒さも、痛さも、寂しさも、全部独りで。


...独りで?

...僕、独りだったっけ?
誰か、いた気がするんだよな。

いつも隣で、笑ってくれた人が。
傷だらけになりながらも、元気付けてくれた人が。
優しく僕を、抱き締めてくれた人が。

どんな人だったかな。
これ以上、何も思い出せないな。

...まぁ、いいか。
今僕が独りなのに、どうせ変わりはないんだから。
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