キミの首輪に、赤い糸を。
そんなとき、一人の看護婦さんが入ってきた。


「あら、瀬沢さんのお知り合いの方?」

「...はい」

「そう。...よかったわ」

「え?」

「この頃ね、誰もお見舞いに来なかったのよ。昔は派手な人達が沢山来ててすごく賑やかだったのに、今じゃ瀬沢さん、独りぼっちって感じだったから。もう知り合いの方はいないのかと思ってたわ」


少し寂しそうに、その看護婦さんは言った。


「...誰も?」

「えぇ。話せなくても聞こえてる。そう信じてあげる人がいてもいいと思うのにねぇ。今じゃ誰も話しかけてくれない。すごく、寂しいと思うわ。沢山話しかけてあげてください」


看護婦さんは優しい笑顔を向けて、部屋を出た。


「...ケイ、独りだったのか?寂しかったか?」


陵さんは何度も問いかける。


「ごめん、ごめんな...お前は俺のこと、孤独から救ってくれたのに...っ」


陵さんは涙を流してケイさんに縋りつく。

それを見て、真白は一歩、踏み出した。
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