キミの首輪に、赤い糸を。
物音で、私は目を覚ました。

体を起こして周りを見ると、真白がいないことに気づく。


「ん...?真白?」

「あ、和咲。起こしちゃった?」


声のする方を向くと、真白は窓の外を眺めていた。


「何してるの?」

「んーとね...外、見てたの」

「外?」


珍しいものなんてあったかな?


「えっと...その...正確に言えば、いないか見てたんだ」

「いないか?何が?」

「...きさらぎが」


如月さん?
あぁ、もしかして...。


「寂しいの?」


思い付いたことを言ってみたけど、真白は首を横に振った。


「ううん。そうじゃなくて、きさらぎはすっごく心配性だから、僕のことどこかで見張ってるじゃないかって思っただけ。今の僕のご主人は和咲だから、見つけたらダメだよって言おうと思ったんだけど、いないみたい」


そう言って真白は微笑む。

そっか。
如月さんは前の飼い主さんだもんね。
真白はきっと如月さんに大切にされてたんだと思う。

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