キミの首輪に、赤い糸を。
「じゃあ、またね。和咲ちゃん、真白くん」

「うん。ありがとね、雛ちゃん」

「ありがとうございます、雛ちゃん」


真白はあまり得意じゃない敬語を使う。
会ってすぐの時はそうだったな。
なんか、すごく前のことみたい。

店を出た私たちは、どこに行こうか迷っていた。


「うーん、どこ行こうか」


私がそう言うと、真白は少し悩んで、「学校に行きたいな」と言った。


「えっ?真白、高校に通いたいの?」

「ううん。和咲が通ってる高校が見てみたいんだー」

「それはいいけど...」


なんで学校?
別に学校に何があるって訳じゃないのに。


「学校って楽しい?」

「えっ?あー、うん。楽しいって言えば楽しいかなー。面倒って言えば面倒だけど」


唯と話すのはまぁ楽しいし、だけど勉強は面倒で。


「へぇー、そっか。じゃあ、僕も好きになれるかな」

「通わないのに?」

「いーの!和咲が好きなもの全部、僕も好きになる」

「なんでそんな考えに...」


なんというか、真白は自分の意思で生きていけるんだろうか。
なんか、ちょっと不安なんだけど。
一週間後は如月さんのところに戻る予定だけど、もし如月さんがいなかったら、真白は生きていけなさそう。


「真白は真白の意思で好きなもの決めればいいんだよ?」


私がそう言うと、真白は当たり前、とでも言うようにこう言った。


「決めてるよ?僕は和咲が好きだもん。これは僕の意思だし、和咲の好きなものが好きって決めたのは僕の意思!」


...うーん、真白の論理は、私には分からないかもしれない...。
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