キミの首輪に、赤い糸を。
「ねぇ、和咲が好きなものって何ー?」


私達はは学校に向かう道のり、ずっとその話題を続けていた。

好きなものかぁ...好きなものなぁ...なんだろ...。


「雛ちゃんも好きだし、あのカフェのリゾットも好き。あとはまぁ...家族も好きだし、友達の唯も好き」

「ゆ、い?」


真白はポカンとした表情。


「学校の友達なの。可愛くて、みんなに好かれてて、優しくて。女子ってこんな子のこと言うんだろうなぁって思えちゃうような子」

「ふーん...僕も、仲良くなれるのかな...?」


うーん...唯はまぁ誰とでも仲良くなれるとして、真白は雛ちゃんにしたみたいに警戒心剥き出しにしちゃいそうだからなぁ...。

それもあるし、真白の存在の説明も面倒そう。


「うーん、どうだろう」


そんな曖昧な返事をすると、真白は首を傾げ、「和咲が好きな人なら、いい人だよね」と微笑んだ。

いつの間にそんなに信じてくれちゃってるんだろう。

私が好きな人ならいい人、なんて、そんなの真白にとっては他人であって分かんないじゃん。


「ねぇ、あれ?」


無邪気な笑顔で真白が指を指す。


「うん。それが私が通ってる高校」


私が悪い人だったらどうするの?
真白、一人になったら色んな人に騙されちゃうんじゃない?

いつの間にか私も、真白をすごく心配するようになった。
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