キミの首輪に、赤い糸を。
「それで?降旗くんのどんなところが好きなの?」


私がそう聞くと、唯は嬉しそうに笑って話始めた。


「あのね、降旗くんって勉強は適当みたいなんだけど、野球のこととなると違う人みたいに真面目になるの!」

「野球バカらしいね」

「そう!それでね、先輩にはすごく丁寧に接してて、後輩にはちょっと厳しいけど優しいんだって!」

「上下関係を大切にするんだ」

「うん。降旗くん、すごくかっこいいの!」


唯は私に満面の笑みを向ける。

恋をすると、人ってこんなに楽しそうなんだ。
唯はいつも笑ってるけど、いつもより笑ってて、幸せそうで。


「ねぇ、唯」

「ん?なにー?和咲」

「...やっぱり、恋ってするべき?」


私のその問いに、唯は笑って大きく頷いた。


「うん!恋をするとね、女の子って可愛くなるんだって!私も降旗くんに好きになってもらえるくらい可愛くなれたらいいなぁ」


恋をすると、可愛くなれる。

もしそれが本当なら、私にみたいに可愛いげがない女子でも、唯みたいに可愛くなれるんだろうか。


「そっか。...唯、もっと可愛くなっちゃうんだねー」


ふざけて私がそう言って笑うと、唯は「全然だよ!これから降旗くんのタイプになれるように頑張るの!」と意気込んだ。
< 6 / 231 >

この作品をシェア

pagetop