キミの首輪に、赤い糸を。
放課後、私は唯と帰っていた。


「唯、授業中に降旗くんのこと見てたでしょ?」


私がそう聞くと、唯は「へっ!?」と間抜けな声を出した。


「ば、バレてた...?」


そして、顔を真っ赤に染める。


「うん。バレバレだよ」


私の言葉に「あぁぁ...」と項垂れた様子の唯。

相変わらず、一つ一つの動作が可愛い。


「降旗くん、長距離得意みたいだね」

「うん!一人だけ全然ペース落ちなくて...って和咲も見てたの!?」

「あまりにも唯が窓の外に釘付けだったから気になってね」


私がそう言うと、唯は私の事を不安げに見上げる。


「和咲...降旗くんのこと好きになっちゃダメだよ...?」


唯は小さいから自然と上目遣いになる。
あぁ、男子はこれに簡単に落ちちゃうだろうなーなんて、関係の無いことを考えていた。


「あはは、ならないよ。私、恋とかまだよく分かんないし」


私がそう言うと、唯は安心したようにはぁっと息を吐いた。


「あー、よかったぁ...。相手が和咲だったら選んでもらえる自信無いし!」


だから私の方が完敗だっての。
苦笑しながら唯の方を見ると、唯は恥ずかしそうにはにかんだ。
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