灰色の瞳
「‥なんで言ってくれなかったのよ。」
『ロイが悪いのよ。ロイったら、旅立つ前の日に言うのよ、信じられないでしょう。セラはすでに寝てたし、色々支度してたら、忘れてたのよ、ごめんなさいね』
本当に悪いと思ってんだかって感じだったけど、思えば家はいつも突然だったから、これもいつものことといえばいつものことだった。
あ、てことは私一人暮らし?
うわ、はじめての一人暮らし。
急すぎてドキドキする。
『あーそうだ!昼には母さんの友達が引越しの手伝いに来てくれるから、頑張りなさいよ!じゃあ母さん車だから、切るわね』
ツーツーツー
あ、切られた。
時計を見ると、10時半。
今から部屋のものをまとめればいいのね。
こんな急展開でも、私はやはり、冷静で。
母さんが私にと取っておいてくれた朝ごはんを食べてから、片付けを始めることにした。