瞳の奥の真実
 水沢くんが心配そうに私のそばに来た。

「どうした?ごめん」

 私は首を振った。

「違うの。どうして涙が出るのかわからないけど、……私、もっとあなたたちの曲、聞きたい」

 みんながわっと私を囲んだ。

 応援したい。すごくそう思った。

 私ができることをやろう。

 きっと生徒会にいる私にしかできないことがあるはず。



 次の日から私は、校内でフェリスの名前を聞いて回った。

「フェリスっていうバンド、知ってますか?」

 思ったよりフェリスは有名だった。

 女の子だけじゃなく、男の子達にも人気だった。

 文化祭でフェリスがライブやるとしたら、という問いにも、たくさんの人が是非やってほしいと答えた。

 何度か練習にも顔を出した。
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