瞳の奥の真実
 私は、

作曲中のみんなの笑顔。

 ギターを弾く前川くんの横顔。

 楽譜に指をさしてちょっと怒っている伊藤くんの顔。

 汗を流しながらドラムをたたく岡崎くんの姿。 

 そして水沢くんの歌っている時の真剣な表情を撮った。



 フェリスについてのレポートを、生徒会長に提出したあくる日のことだった。

 私は水沢くんに呼び出された。

 水沢くんは私を見つけるなり飛んできて、私の手を握った。

「山口さん!ありがとう!ありがとう、ありがとう……」

「み、水沢くん?」

 涙ぐんでいるように見えた。

「会長の……許可が……おりた!」

「え?ほんとう!?」

 私は会長が、私のレポートを見て総務の先生に相談に行ったところまでは知っていた。

 どうもその後、先生の許可が下りて、すぐに水沢くんの教室まで行ったのだ。

 そして「ライブ、許可する」とぶっきらぼうに許可の判を押した書類を水沢くんに渡した。
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