瞳の奥の真実
「もうすぐ来るって」

「じゃ始めるか」

 いつものように岡崎くんがキーボードの前に座り、切ない旋律を弾き始める。

 最初はゆっくり、……おさえていた気持ちがあふれだすように激しくなる曲。

 涙が出そうだった。

 どうしてこんな、曲の旋律だけで人を感動させるような曲が作れるんだろう。

 それに合わせて、ところどころに歌詞をはめ込んでいく水沢くん。


 
 重い扉が、ガタッと音を立てた。

 前川くんが来たのかと思ってそっちを見たら、いたのは美優ちゃんだった。

 ……泣いてる。

「どうしたの?」

「私……どうしたらいい?どうしたらいいの?」

「泣いててもわかんない。ちゃんと話して」

 同じ大学を受けていた前川くんと美優ちゃんだったが、大学に合格したのは美優ちゃん一人だった。
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