瞳の奥の真実
 前川くんは笑って「来年頑張るよ」と言ってはいたが、最近、ことあるごとに、「俺に美優はもったいない」とか、「大学にいい男がいたらそっち行ってもいいんだぞ」とか言ってくるらしい。

「私、前川くんを苦しめてるのかなあ?私の顔見ると、どうしても大学落ちたこと思い知らされるでしょ?」

「美優ちゃん……」

「自信がないんだろうな」

 水沢くんだった。

「……きっとさ、新しい生活が始まった美優を繋ぎ止めていられるか、心配なんだよ。俺だって……まあ、俺のことはいいや」

 ちらっと私を見る水沢くん。

「なに?」

「……まあ、俺だってさ、夏樹は優秀だから……」

「そんなこと思ってたの?」

「思うよ。普通」

「そんな風に思うの、やだ」

 水沢くんは私に背を向けた。

 ……違う。

 岡崎くんの方を見たんだ。
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