瞳の奥の真実
 いつの間に来ていたのか、前川くんの背中が扉の向こう側に見える。

 それに気付いた美優ちゃんが前川くんに駆け寄って行った。

 岡崎くんの曲と、水沢くんの歌の力だ。

 すごい。

 いつの間にか流れていた涙。

 水沢くんの想いが、私の胸にも響いていた。

 気が付いたら水沢くんが私のそばにいて、私の頭にポンと手を置く。

「夏樹―、頼むから水沢のこと大事にしてくれよ!お前がそばにいるだけで、こいつ、いい歌詞書くんだ」

「そんなこと伊藤くんに言われなくてもわかってる」

「かわいくねえ女」

 その後、前川くんも仲間に加わり、さっきの歌がきちんとした曲になった。


 
 ライブハウスも押さえ、高校を卒業して初めてのライブの日が決定した。
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